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不織布マスク警察

布マスクやウレタンマスクを着用している人がいると攻撃するという、いわゆる不織布マスク警察が拡大しているという噂を聞く。私は見たことがないのだが。

不織布マスクを強要する理由は、不織布マスクの方が他種のマスクよりも飛沫の防止効果が高いということのようだ。そのエビデンスとしてよく使われているのが、テレビのニュースでもよく使われている、スーパーコンピュータ富岳によるシミュレーション映像だ(と思われる)。

ということは、富岳のシミュレーションを信じている人が大勢いるということだ。

私はコンピュータに関してはそこそこ詳しいから、スパコンのシミュレーションでこうなった、と言われてもそう簡単には信用しない。そもそもシミュレーションというのは、まずどんなモデルを採用して、どのようなパラメータを与えたのか。マスクの素材はどうなのか、顔とどの程度フィットしているのか。咳をしたところのシミュレーションなら、どのような強度の咳を想定したのか。普段の呼吸だとどの程度の差があるのか。

等々の、多くの変数があるはずなのだが、富岳のシミュレーションに、そのような数字がまるで出てこない。そもそも学術的な主張なら、第三者が検証して再現性を確認するのが基本である。しかし富岳以外のマスクのシミュレーションも見たことがない。もしかすると富岳に匹敵するコンピュータがないために再現できないのかもしれない。

私が富岳のシミュレーションを信用できない特別な理由が一つある。東京の地下鉄を使っていて疑問を感じたからである。

マスク以外にも富岳はシミュレーション結果を公開している。その中に、電車の窓を広く開けても空気の入れ替わりはあまり変わらない。のような発表があったと思う。それ以降、電車の窓の開け幅が少なくなったので、あったはずだ。

窓を大きく開けたら換気効率が上がるという単純なものではない、というのは昔から言われていたことだ。空気の出入口が狭いと、空気の流れが速くなることがあるからだ。だから、シミュレーションの結果を頭ごなしに否定する気は全くない。

ただ、私は地下鉄で座ったときに手帳にメモを書くことがある。昨年の流行時には、風圧でメモがめくれてしまい、手で紙を押さえておかないと書けなかった。ところが最近はそんなことはない。いつ書いても、手帳のページは動かない。つまり、窓の開け方を狭くした結果、手元に風があまり流れていないという事実を示しているとしか思えないのだ。

コンピュータを知らない人なら、シミュレーションの結果は正しいとか、AIの判断は正しいとか、そのような先入観があるのかもしれない。しかし私はプログラマーだ。だから、シミュレーションはだいたいおかしいとか、AIは普通間違えるとか、そのような先入観がある。だから何か最近の日本はちょっと危ないと思う。

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