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書評: ささみさん@がんばらない


今日はバレンタインデーということで。


鬱の人に頑張れと言ってはいけないというのが定説だったような気もするのだが、最近はそうでもないらしい。
でも今回はがんばらないので無問題。
なぜ頑張らないかというと、ヒロインのささみ(鎖々美)さんは絶対神という設定なので頑張ったら大変なことになってしまうのだ。
多分。


何がバレンタインデーかというと、第一部「アマテラス」がバレンタインチョコレートの話。
バレンタインネタは第一部だけなのでご心配なく。
とはいってもこのラノベはラブコメではないから、チョコをチョコチョコあげてキャピキャピみたいな話ではなくて世界滅亡の危機になってしまう。
ラブコメじゃないなら何かというと、ファンタジー系なのかな、神様出てくるし。
第二部「ヤマタノオロチ」はSNSの話でかなりサイバー入っている。
出てくるのが神様とか怪異みたいなのだから化物語とかそっち系の世界。


ラノベだけに、設定は軽くて中身もないていうか、こういうどろどろしたストーリーだと個人的にどうしても化物語と比較してしまうのだが、化物語に比べると極めて軽い。しかし、油断させておいてクリティカルな一撃をぶち込んでくる。

弱くて潰れそうだったわたしが、それでもまだ生きてこられたのは、現実逃避ができていたからだった。


(p.223)


こんな台詞がサラっと出てくるし

「紡がれたたくさんの文字、世界を切り取ったような数々の写真、想像力が生んだ絵画や音楽――ネット世界にはおびただしい量の物語が渦巻いている。けれどそれらは、たいていの場合……誰にも顧みられずに、土砂のように積みあがるだけ」


(p.128)


真理ですね。
作者はかなりネット世界に入れ込んでいるのではないか。
でもこの一撃、殆どの読者には当ってないと思うぞ。
読み飛ばされてるんじゃないかな。


アニメ化されてちょうど今、深夜に放送中なんだけど、アニメでは省略されているエピソードとか、逆に追加されている小ネタとかあって、ミクロな部分が結構改変されているので要注意。
ちなみに「改変」ってこの小説のキーワードなんだよ。


ささみさん@がんばらない

日日日著

ガガガ文庫

ISBN978-4-09-451176-5

\590 (本体)


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