書評: だいじょうぶ だいじょうぶ
いとうひろし作、絵
だいじょうぶ だいじょうぶ
Yahoo! 知恵袋で「友達ができないのだが、どうすればいいか」のような質問に答えるときに使ったことのある本。
まあここだけの話だが、
中学生、高校生になって「友達ができません」と言っている人達にこの本が理解できるとは到底思えない。
もしかしたら、表紙を見ただけで「なんだ、こんな本」と言って全く読んでくれないような気もする。
しかし、多分他の人達が見た時に、ひょっとしてひょっとするかも、というような期待を込めて、ということである。
それは、むりして みんなと なかよく しなくても いいんだって ことでした。
(p.20)
この本は見た感じ、幼児向けの絵本である。
明らかにターゲットはそのはずだが、
子供なら理解できても大人には見えないことは案外多い。
もしこの絵本が簡単だという人がいたら、
最後の「だいじょうぶ」というのは、一体何が大丈夫なのか、というのを問いたい。
もしかすると、この一言は、子供なら簡単でも、大人にはなかなか理解できない世界に入り込んでいるのではないかと思うのだ。
現実の世界では、先日紹介したミドリカワ書房さんの歌のように、
「大丈夫」という言葉は、大抵、大丈夫でない場合に発せられる。
ミクロな視点ではそれは大丈夫ではないのだが、
マクロな視点で見れば、大抵のことは大丈夫である。
そういう視点の転換ができるのは、長い人生経験を積んでトラブル慣れしたおじいちゃんならではの言葉なのだが、
だから、この本は「友達ができない」と悩んでいる人達だけでなく、
実は、もう一種類の質問の答にもなっている。
つまり「人は何のために生きているのですか」という質問だ。
ただし、それこそ、そんな疑問を持っている人にこの本を読ませても何も分かる訳がないのだから、
そちらの質問をしている人にこの本を紹介したことはない。
自分は何のために生きているのだろう、とか微妙な疑問を感じてしまった疲れた人におすすめの一冊。
もちろん、小さい子供に読んであげるのもいい。
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