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書評: コンサルタントの秘密


コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学、
G.M.ワインバーグ (著), 木村 泉 (翻訳)




ワインバーグ先生の数冊の有名な本の中の一冊である。
定番である。
事例がたくさん出てきて面白い。
法則もいろいろあるが、矛盾するような法則もたくさん出てくるから一筋縄ではいかない。
内容についても、当然だが演出・脚色が入っているから、
その分を深読みしてもいいし、あえて文字通り受け止めるのもよし。


どういう人におすすめすればよいか?
ワインバーグ氏はこれからコンサルタントになる人と書いてるのだが、
ターゲットとしては、
コンサルタントになりたい人というよりは、
SE とかプロジェクトマネージャを経験して、
失敗談とかいろいろ抱えて溜め込んだ人が、
自分の経験と照らし合わせて新たな解決策を想像する、
というような感じでどうだろうか。


一例として、エピソード「なぜ私は教授職を降りたか」を紹介する。
ワインバーグ先生はこのエピソードを失敗談として出しているのだが、
ここに出てくる女学生は、次のように言う。

先生が自分で教えた原則をどう適用するか、見せてほしい


女学生はこのエピソードの中ではワインバーグ氏への挑戦者として描かれているのだが、
結局、ワインバーグ氏の主張を代弁する役を演じているに過ぎない。
この後、女学生は賭けに誘う。

だってそれ、私、証明できると思う。 賭けてみません? 五ドルでどうかしら。


(p. 88)


この後ワインバーグ氏は安易に賭けにノッて、
その場で敗れることになっているのだが、
これはおかしなエピソードだ。
なぜなら、
本来のワインバーグ氏なら、
このような賭けが提案された時点で、
なぜこの女学生は賭けを提案したのか
を考えるはずだからだ。
従って、
この女学生はこの賭けに勝算があると思っている
こともただちに発見して、
その勝算とは何か
を考える所までは、一瞬でシナリオが進行するはずなのである。


つまり、
自分で教えた原則を適用
したなら、このエピソードはどうもおかしいのである。
だいたい、五分間の法則なんてのが出てくるのだから、
当然、女学生の言動の裏に何があるのか考える、
なんてのは基本的な思考パターンの一つに過ぎないのだ。
と考えると、
このエピソードは法則を導くために相当脚色されているのではないか、
という結論にたどり着くのであるが、
最初の方に出てくる最高度困難法則、

自分の手助けをすることは、他人の手助けをするよりもっとむずかしい。


(p. 19)


を紹介するという話?
まあそれはそれで全然問題ないのだ。
いやまて、
もしかすると、このことは、その後に氏が

「ワインバーグの行きすぎの法則」をでっちあげた


と書いていることからも想像できるのかもしれない。
つまりこれは最初から
でっちあげ
なのだ。
危ない、危ない。


教訓: コンサルタントの話には裏がある。


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