書評: 実践アンケート調査入門
実践アンケート調査入門
内田治/醍醐朝美 著
日本経済新聞社
ISBN4-532-40215-8
お手ごろな本。どこかのアンケート担当者に見せてやりたい一冊だ。基本的な知識から、実践的なノウハウまで、一通り揃っている。例えば、こんな感じ。
回答者の立場で考えてみれば分かるように、延々と質問が続くアンケート調査には協力したくはありませんし、協力したとしても、質問の後半では回答が面倒くさく、雑になり、質問に対する無回答も増えてしまいます。
(p.118)
言われてみたら当たり前なのだが、実際、そういうアンケートを見かけることは結構あるだろうし、そういうアンケートを平気で作って普通に集計している人もいたりするかもしれない。他にも、顧客満足度調査をする場合、基本的に満足していない人は回答してくれないから集計に気をつけろとか、とにかく、この種の実践的な知識が多数出てくるので、アンケート入門としては、濃い内容のわりによくまとめられた本であると思う。
インターネットを使ったアンケートに関しても触れられているが、具体的にどのようなツールがあるとかいう所までは出ていないのが残念である。
インターネットで調査する場合には、調査対象に偏りが発生するので注意が必要だが、その点については明確に指摘している。以前、IEでないとまともに表示できないようなページを作っておいて、アクセスログを分析したら利用者がIEでアクセスしていたので「IEのシェアは予想以上に大きい」と結論付けた、みたいなギャグを紹介したのだが、アンケートにもこういう偏りが発生することがあって、インターネットで調査する場合に最も問題になるのがこのような偏りなのである。今更書くまでもいが「パソコンを使えるか」のようなアンケートを行いたい場合には注意が必要になるという話だ。そのあたりまでなら、この本を読んでおけば、ミスしなくて済むと思う。
とりあえず、初心者なら読んでおくと便利な本。ただし、アンケート調査というのは、ある程度のプロフェッショナルな知識が要求されるので、初心者は、経験者のアドバイスを受けながら実施することが望ましい。
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