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書評: 人はなぜ色に左右されるのか

人はなぜ色に左右されるのか 人間心理と色彩の不思議関係を解く(KAWADE夢新書)

千々岩英彰 著
河出書房新書
ISBN4-309-50133-8

既に個人でホームページを公開するのは珍しい話ではないし、個人でレンタルサーバーを借りてサイトを構築できる時代である。ただ、サイトのデザインに関しては、デザインする能力がないとどうしようもない。美大を出てますとかアニメ学院行きましたなんて人ならまだしも、手も足も出ませんという人は多いのではないだろうか。それをお手軽に達成するのがblogなどに最初から用意されているテンプレートという代物だが、中にはあまりにも無茶苦茶な色を使ったデザインのものがある、というか、いくら何でも大杉。マジすか? とか言いようのない状況である。

しかも、それが大手のプロバイダが用意しているものだったり、大企業の公式サイトであったりするから驚くのである。

サイトデザインの基本の一つに、色情報がなくても判断できるようなデザインにするという指針がある。これは簡単に確かめることができる。白黒表示にしてみて、見やすさがあまり変わらなければいいのだ。ユーザーインターフェースの分野でも、色で識別しないと使えないようなデザインにしてはいけないというのは鉄則である。なぜかというと、色を識別できないユーザーはおそらく思っているよりもずっと多いのだ。

しかし、もう一つのデザインの基本がある。色情報をうまく使うことで、より効果的なサイトにすることも可能なのだ。色だけで判断させてはいけないという鉄則と、色をうまく使えば効果が高まる、これは矛盾することではなく、独立した別の話なのである。

では、どのような色を使えば効果的なのだろうか。と思って読んでみたのがこの本だ。予想以上に、ヒントになりそうな話が出てくる。たとえば、どの色を見たとき、どんな感情に結びつくのか、それはどの人にも共通なのか、国によって違うのか、といった、なかなか参考になりそうな薀蓄話がたくさんあるのだ。

この本はウェブサイトを想定して書かれたものではないから、ウェブサイトに応用するには読者が全て自力で応用しなくてはいけない。もっとも、色によって個性を演出するような話は応用するのは簡単で、地味な正確を隠したければ派手なページにするとか、その程度で済む訳である。

巻末に書かれている「色使いを上手にする10のヒント」から紹介する。

(1) 自然に逆らう“不自然”はしない
(2) 統一と変化の兼ね合いをはかる
(3) 色と色とを“仲良し”にする
(4) 同じ色をリピートする
(5) 配色にも少しスパイスを効かせる
(6) 色数をできるだけ少なくする
(7) あざやかな色は小さく使う
(8) 白・灰・黒を積極的に使うとセンスがよい
(9) 色のイメージをTPOに活かす
(10) 色使いにも自分らしさを出す

このヒントだけでも「なるほどー」という感じだが、簡単なことほどなかなか実践できないものだ。例えば、7番目の「あざやかな色は小さく使う」とか。つい大量に使ってしまうものである。そしてかえって逆効果、ということになる。8番目「白、灰、黒」というのはなかなか使えそうでも使うのに度胸がいるものだ。まあ詳しく知りたいなら、この本を読むべし。

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