書評: 声に出して読めないネット掲示板
声に出して読めないネット掲示板(中公新書ラクレ 114)
荷宮和子著。bk1の書評見ると酷評のような気もしますが、世間では2ちゃんねるをこう見ているのか、という感じで読めば割とアレじゃないかと。差別という意見もありますが、ネラーが世間的には差別されているという事実を考えればまあアタリマエの本というか、こういう本が存在するからこそ2ちゃんねるの存在意義があるみたいな? 反面教師としては桶みたいな意見もあるようですが、自分的にはこんなの反面教師にもならないと思った。単に自分の枠内で書いているだけの話だと。
前半は、折り紙オフの話。多分、都合のいい所だけ抜き出したのでは、と妄想させるような切り出し方がミエミエなのだが、ペーパーメディアにはできないような内容が絶対あるというか、やはりできないものはできないのかな、というのが率直な感想だ。そういえば全然関係ないけど、春頃に、某キャスターが運転中にキツネ避けようとして横転、自分は助かったが家族2名死んだというニュースがあったが(キャスターだという話は私の見た範囲ではマスコミには出てこなかったけど)、2ちゃんねるでは「キツネがかわいそうだ」という意見が出ていた。実はこのニュース見た時の私の第一印象というか最初に出てきた感想は、この事故、キツネだったからよかったけど、人間の子供が飛び出してきたとか、そういう状況だとこの運転手、子供を轢き殺して同乗の家族も巻き添えにしていたわけで、そもそも運転する資格はあったのか、のようなことを書こうとした。でも後でよく考えてみると、それってキツネを差別してますよね、すみません。
運転する資格って話は免許云々じゃなくて、某県以外を運転したことないとか、そういう書き込みがあったということから出てくる話ですけど、念のため。
で、多分、著者がこの板をネタにするとしたら、「母親が亡くなっているのだからもう止めようよ」というカキコを(だけ?)引用するのだろうな、とか思ったわけで、まあそーいう感じがしないでもない本なのである。あ、キツネの話は出てないですよ、この本には。
話はトンで、4章の「負け組」の話なんだけど、これって2ちゃんねると関係ないじゃんと重い筒【謎】、
| 「勝ち組」「負け組」という語彙を手に入れたことによって、いまどきの日本人は、相手がクラスメートであれ、同僚であれ、先輩であれ、身内であれ、「自分のことを棚にあげ、赤の他人の値打ちについて、あれこれと自分勝手に値踏みすることに対して、何の疑問も持たない人間たち」になってしまったのである。
(同書、p.167、6~10行)
これで著者のスタンスがだいたい分かると思うけど、著者はもしかすると「自分を負け組に含める」という発想はないというかあり得ないというか、単に類別するのではなく「勝ち組は負け組よりもいい」という差別的発想に基づいた解釈をしたいのか、そのあたりはいまいち不鮮明ではありますが、赤の他人の値打ちって、「自分」から見たとき、自分勝手に値踏みするものだろ、普通、とか思たわけで。というかそんなの客観的に指標で判断されたら困るというのがそもそもの疑問点になかったのだろうかと。
「いまどきの日本人」にも様々といいますか、そんなの二分木で分けられる話じゃないと思うわけだが、「なってしまった」と断言する姿勢がスゴイです。そのあたり、頭に入れてから読めば、ある意味面白い本ではあると思う。繰り返すが、反面教師にしようというのは無理というか、そこまでの価値はないと思うけど。私としては。
ネラー的にはこの著者って負け組かな? もしかしたら「負け組にも入れないのでは」という感じもするけど、そういえば2ちゃんねるに投稿したことないナー。
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